【休職したら終わり?】社会復帰までの流れを紹介・復職だけが選択肢じゃない

仕事

休職はキャリアの中で一つの転機です。

ちゃんと職場復帰ができるのか、不安になる人もいるのではないでしょうか。

結論、休職して何もかも終わり。なんてことはありません。もちろん考えるべきことはありますが、糧になる時間を過ごすことはできます。

筆者も休職を経験しましたが、休職から復職する流れを理解し、自分が最も必要とする選択をすることが大切です。

休職は、自分自身と向き合い、自分自身をより良くするための時間と考えることができます。

休職したら終わり…ではない理由

休職しても社会復職できます

休職したからといって終わりではありません。休職はのことで、その期間を利用して自身の体調や状況を整えることができます。

病気や怪我、精神的な問題など、様々な理由で休職を選択する人がいますが、その大半は適切な治療と休養を経て職場に復帰しています。

実際、過去3年間の復職率の平均値は 51.9%で、2人に1人は復職しているというデータがあります。

休職したからといってキャリアが終わるわけではなく、再起を図るための一歩と考えることができるのです。

将来を考える時間ができる

休職中は日々の業務から一時的に解放され、自分自身や将来のことをじっくりと考える時間ができます

通常の業務を行う中でなかなか手がつけられなかった趣味や学習、運動などに時間を使うこともできます。また、自分のキャリアパスについて深く考えたり、新たなスキルを身につけるための学習を始めるのも良いでしょう。

筆者は、半年間の休職の経験がありますが、元気を取り戻してからは空いた時間を、自分の将来を考える時間に充てることができました

休職の手続き

実際にどのような手続きを踏めばいいのでしょうか。見ていきましょう。

会社の休職制度について確認

休職制度は会社によって、就業規則に定められている内容が異なります。

休職前には必ず人事・労務部門や上司と相談し、休職の詳細について確認することが重要です。

休職期間の長さ、休職中の給与や保険の扱いなど、知っておくべき事項は多くあります。不明な点は積極的に質問し、自分の状況に最も適した決定を下すために、必要な部署のメンバーと情報を得るようにしましょう。

精神科もしくは心療内科を受診して診断書をもらう

休職の理由が、精神的な疲労を原因とした症状の場合、適切な診断が必要です。また、診断書は休職の手続きに必要となります。

あなたが自身の健康を管理し、適切な治療を受けていることを会社に示すための書類です。就業規則による部分はありますが、診断書があることで、休職の正当性が認められやすくなります。

休職届けとして診断書を提出する

心療内科のサインをもらった診断書を会社に提出します。

筆者は、原本を手元に保管し、コピーした写しを会社に送付することで手続きを完了しました。

休職中はどうやって生活するの?

休職中は給与はもらえない

休職中は基本的に給与は支払われません。しかし、傷病手当金や労災保険などの社会保険制度を利用することが可能です。

また、給与は支払われなくても、健康保険や厚生年金、住民税などの社会保険料は、引き続き発生します。

給与がストップしている間は、保険料を天引きしてもらうことができません。自己負担分の社会保険料を自分で会社に支払う必要があります。

傷病手当や労災保険の制度を利用する

休職中の生活費として、傷病手当金を受け取ることができます。また、労災保険も適用される場合があります。これらの手当は、休職期間中の収入を補うためのもので、休職者自身が申請することで受け取ることができます。

筆者は、月に一度、下記の流れで対応していました。

  • 心療内科を受診し傷病手当金支給申請書に記載してもらう
  • 人事部門の部長宛に封筒で原本を送付
  • 支給申請書の写真を撮影し、人事部にチャットで画像を添付

休職中は基本的に給料が出ないので、「傷病手当」や「労災保険」を活用しましょう。

傷病手当とは、業務外の病気やケガが原因で会社を休み、給料が得られない時に、手当金が給付される制度です。傷病手当を利用できる条件は以下の4点です。

  • 業務外の病気やケガが原因で仕事が困難な状態である
  • 病気やケガを原因として会社を休む必要がある
  • 仕事に就けない状態が4日以上続いている
  • 休職中に給料を受け取っていない

条件を満たすことで、現在の給料の約3分の2の額を、最長1年6ヶ月間受け取ることができます。

引用:病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)|全国保険協会

一方で、労災保険とは、業務内もしくは通勤中の事故によって病気やケガを負った際に利用できる保険制度です。労災保険で給付を受け取れる条件は以下の3点です。

  • 仕事や通勤中の事故によって仕事が困難な状態である
  • 事故によって療養している
  • 療養中に給料を受け取っていない

条件を満たすことで「給料を1日当たりに換算した金額の60%×休職日数」の額を受け取れます。

出典:労災保険給付の支給事由と内容については 厚生労働省

筆者も、心身の不調で休職した経緯があり、その際には「傷病手当金」を受給していました。

社会保険給付金の手当は、自身で考えているよりも長期間、十分な額を受け取れる可能性があります。

転職を見据えて休職や退職を考えている方は、準備を進めておくことが重要でしょう。

傷病手当と労災保険の併給はできないので注意

傷病手当金と労災保険の併給はできません。労災保険と健康保険では、補償対象が異なるためです。

傷病手当金は「業務外の病気や怪我で申請ができる手当金」であるのに対して
労災保険は、「業務上、もしくは通勤途中の病気で給付される保険金」です。

どちらの制度が自分の状況に適しているか、あらかじめ確認しておきましょう。

休職してから復職するまでの流れ

主治医に「復職可能」の診断をもらう

復職するためには、主治医から「復職可能」の診断を受ける必要があります。

これは、あなたが健康状態を回復し、再び職務を遂行できる状態にあることを示すものです。これが無いと、会社はあなたの体調がまだ完全には回復していないと判断し、復職を認めない可能性があります。

会社に復職タイミングについて相談

復帰のタイミングは体調だけでなく、職場の状況なども考慮に入れ、会社と相談して決定します。

あなたが体調を整え、再び働ける準備ができたと感じたら、まずは人事部門や上司と連絡を取り、復帰の意向を伝えましょう。その上で、具体的な復帰日や復帰後の勤務形態などを話し合います。

体調に応じて働き方・環境を整備してもらう

復職後も体調管理は続けていく必要があります。

必要であれば、働き方や環境の調整を会社に要請します。例えば、一日の勤務時間の短縮や、テレワークの導入などが考えられます。

復職ではなく、退職・転職を考えても良いケース

良好な関係が社内で築けており、あなたが復帰を強く望んでいる場合は、社内に復帰できるのが良いでしょう。

しかし、社内への復職だけが全てではないということをお話しさせてください。

ここで強調したいのは、「選択肢を広げること」があなたにとって重要だということです。

休職が、精神的な疲れが原因である場合

休職の原因が精神的な疲労からくるものであれば、復職して全く同じような環境に再び症状が出てしまう可能性もゼロではありません。

事実、メンタルヘルスを起因とした病気休職の取得を経て復帰した社員のうち、約半数が再発をしたというアンケート結果もあるくらいです。

引用:~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」調査結果(P.20)~

もちろん、先述したように、会社側が働き方に配慮してくれている場合はその限りではありません。

テレワークやフレックスタイム制での就業などは、一つの選択肢として考えるべきです。

休職が人間関係に起因している場合

職場の人間関係がストレスの原因であり、復職した先で、休職の原因となった社員・メンバーが在籍している場合、よほど関係性の回復を双方が臨んでいない限り、復職ではなく退職や転職を考えることも一つの選択肢です。

新たな職場で新たな人間関係を築くことで、ストレスを軽減し、健康を維持することが可能です。

休職中に現職へのこだわりが無くなった場合

休職中は、時間もできるので、考えを整理する契機となります。

その過程を経て、新たな価値観を知ったときに、復職ではなく新たな道を進むことを選ぶのも一つの手です。

身体を休めて元気になるのが最優先ですが、あなたには退職をする権利もあります。自分自身の成長と新たな可能性を追求する大切な機会となります。

まとめ

休職は一時的な休息で、それが人生の終わりを意味するわけではありません。

復帰を目指すだけではなく、選択肢を広げて新しい環境を模索するなど、前向きな機会と捉えていくことも可能です。

休職から復帰する流れを理解し、自分が最も必要とする選択をすることが大切です。

記事を読んだ方が、悲観的にならず、良き休職期間を過ごせることを祈っています。