嫌なこと・思い出したくないことを忘れる方法は【お酒を飲むのはNG?】

生活

人生には、残念ながら避けられない嫌な出来事や苦い思い出が存在します。

これらの記憶が心に重くのしかかり、何とかして忘れたいと思ったとき、具体的な解決策は何かあるのでしょうか。

  • 辛いこと、嫌なことを忘れて前に進みたいけどどうしたら良いのかな?
  • お酒を飲めば忘れられるのかな?

上記のような疑問に答えていきます。

結論からお伝えすると、嫌悪感を感じる記憶は、「精神的に安定していて、嫌なことが起こらなかった事実からなる記憶」を繰り返すことで、「忘れていく」ことができます

また、よく言われているような定期的な運動などで心身の悩みを発散させる行動は、やはり優れたやり方と言えます。

嫌なことを忘れるためのさまざまな方法について、一緒に考えてみましょう。

嫌なことは、どうやって忘れられるのか?

楽しいことに没頭するのは難しい

解決策の一つとして、よく言われているのが、楽しいことに没頭するという方法があります。

しかし、楽しいことへの没頭は、実際は難しいです。

そもそも嫌なことが頭から離れず、楽しいことに心から集中できないことがあるためです。この問題を克服するためには、まず脳のメカニズムを理解することが重要です。

脳のメカニズム。ヒントは記憶を司る脳内の各部位にあり

記憶の形成と消去は、脳の一部である「扁桃体」や「海馬」といった脳のあらゆる部位が関与しています。

それぞれの部位で、種類に応じた新しい記憶を作り出し、古い記憶を消去します。例えば、記憶には、

  • 「ある状況で現れる特定の感情や身体変化の記憶(主に、扁桃体などが対応)」
  • 「内容を言葉にして説明できる記憶(主に、海馬などが対応)」

など、いくつかの種類があります。

記憶を司る部位に対して適切な刺激を与えることで、記憶に対してある程度の働きかけを行うことができるのです。

嫌なことを忘れるために必要なのは、記憶の上書き

嫌なことを忘れるためのヒントは、「記憶の上書き」です。

少し躊躇われるかと思いますが、嫌なことがあった時のシチュエーションに似たような状況を作って、当時よりも楽しい記憶を新たに作り出すことが重要です。

先ほど触れた、ある状況で現れる特定の感情や身体変化の記憶に対して、記憶の上書きを行うことが重要になります。

「何も問題が起こらない」ことで記憶を上書きする

ある状況で現れる特定の感情に対して「何も起こらない」状態を作り出すというのは一つの方法です。

例えば、閉所恐怖症の人を想像してください。様々な場所に行って、最初は1人では耐えられなかったり強い緊張をしたりするものの、だんだん慣れてきて、最初のような恐怖を感じなくなる、という経験は不可能ではないはずです。

このような成功体験を繰り返すことが、嫌なことを克服するのに役に立つのです。

古い学習が表に出なくなるということが、それに寄与する脳部位(前頭葉内側部)とともに明らかにされた。つまり、忘れたのではなく、何も起こらないという新たな経験によって上書きされたのであり、したがって、きちんと「忘れる」ためには、さまざまな状況で何度も上書き学習をすることが必要ということになる

嫌な記憶はどうすれば消えるのか?|早稲田ウィークリー

似たシチュエーションで、楽しい時間を過ごす

記憶は、新しい出来事によって上書きされます。

嫌なことがあった時と似たシチュエーションで、短時間であれば十分にリラックスした・楽しい気分の状態でその場に臨みます。

「長時間とどまったとしても結果的に当時経験したような嫌な事態に陥らなかった!」ということを身をもって理解することができれば、「何も起こらなかった」ときと同様にポジティブな記憶で、記憶を上書きしていくことが可能です。

定期的な運動で海馬を新しい細胞に入れ替える

また、「内容を言葉にして説明できる記憶」、すなわち一般的に言われる「ほろ苦い記憶」の類の嫌な記憶についても、海馬を活性化させる形で、解消に役立つことがわかってきました。

研究によると、海馬を活性化させる定期的な運動も記憶の上書きに役立ちます。

運動は海馬の新しい細胞を生み出し、定着が不安定な記憶と、固定化が進んでいる記憶の新陳代謝を促すためです。

身体的な健康とともに精神的な健康も維持しながら、過去の嫌な記憶を忘れることができます。

お酒を飲んでも嫌なことは忘れられない

よく言われている「酒を飲んで忘れよう!」という言葉ですが、アルコールは嫌な記憶を忘れさせてくれるのでしょうか。

実は、お酒を飲むと、思い出された嫌な記憶・恐怖記憶が逆に残ってしまう可能性が指摘されています。

アルコールは想起の過程で不安定になる記憶を安定化させ、再固定を強く促進させることが明らかになった。また、この作用が、忘れる過程(消去)への作用ではないことを確認した。

「お酒を飲んでも嫌なことは忘れられない?」

お酒は、一時的な逃避手段にすぎず、問題を根本的に解決するものではないのです。

お酒を飲むのではなく、運動など、新しい楽しい記憶を作り出すことを心がけてみてください。

最嫌なことを忘れるのは容易なことではありませんが、ほんの小さな工夫を加えた行動を通じて、良い結果を導くことができます。

自分に最適な方法を見つけ、前向きな生活を送ることができるように、さまざまな手段を探求し続けていきましょう。