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【名言】「夜と霧」を読んだ宇多田ヒカルが生きるヒントを教えてくれた

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2021年、宇多田ヒカルさん(以下、愛称の「ヒッキー」)が、「ヒカルパイセンに聞け!」という企画として、インスタライブを開催しました。

リスナーからの質問に対して回答していくスタイルで展開されるこの企画は、大変にファンからの人気を博しています。

読書家としても知られるヒッキーですが、ある質問に答える中で、引用されたのが、ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』という書籍でした。

ヒッキーは、アーティストとしての休養期間を設けています。その期間に、母親を亡くし、出産を経て、1児の母となりました。

想像力の巡らされた回答だったことはもちろん、上記のようなバックグラウンドを持つ彼女だからこそ、見る人を勇気づけるパワーが、メッセージには込められています。

この記事は、下記のような人に向けて書いています。

  • 拠り所がなく、生きるのが辛いと考えている人
  • 最近悲しいことがあり、立ち直れないと感じている人

他の企画での彼女のコメントも引用して、一貫した彼女のスタンスから、生きるヒントを探っていきます。

「夜と霧」の概要

「夜と霧」は、オーストリア出身のユダヤ人心理学者ヴィクトール・フランクルの著書です。

自身が第二次世界大戦中にナチスによって迫害を受け、強制収容所に入れられていた数年の苦闘を描いた本です。

ナチスの行った迫害(ホロコースト)では、600万人とも言われる犠牲者が出ました。当時、収容所に閉じ込められた人を苦しめたのは、劣悪な環境によって発生した疫病や、課せられる重労働による過労です。

さらに、フランクルによると、絶望的な環境の中で収容所に押し込められている人を分けたのが「生きる意思・意味を持っているか」でした。

私たちは常に生きる意味を問われている

私たちは苦しいことややるせないことがあった時に、「生きる意味ってなんだろうか」と下を向いてしまいがちですが、フランクル曰く「生きる意味を問うことには意味はありません」

「生きる意味」は降って湧いてくるものではなく、自分自身が人生に問いかけて見出すものなのです。

苦しく辛いときに見出すこと

「夜と霧」の中でフランクルはこのように述べています。

「自分自身を売り渡してしまった人、自分の心に内的な拠り所を持たない人は、帰ってこなかった」

究極の状況に置かれているとき、死んでしまうのではないかと思うほど、苦しく辛いときも、人生に立ち向かう姿勢・態度が、その人の人生を高みに到達させ、生存確率を高めたのです。

苦しみの中でこの境地に達した筆者の心理は計り知れません。

ただ、精神医として数多くの患者と接していた筆者は、生きる姿勢こそが苦しいときに何より大切だということを悟ったのです。

自分の人生を問い、愛と責任を持つ

私たちは、あらゆる場面で、自分の判断や決定で物事を進めています。仕事も生活する中でも判断基準を持ってことにあたることを求められています。

ヒッキー曰く「あらゆる活動に上下はなくて、そこには意味を見出すことができる」のです。

遊びであれ、趣味の延長であれ、何らかの形をとっているものに対して、人は責任を持って活動をしています。

ある人にとってそれは恋愛かもしれないですし、またある人にとっては家族との生活かもしれません。

情熱や愛を注ぐ価値や意味のあるものごとであれば、それは素晴らしいことなのです。

宇多田ヒカルへの質問「悲しみをどう乗り越えるか」

2021年に行われた「ヒカルパイセンに聞け!」の企画の中でもヒッキーは、リスナーからの質問に答えています。

質問内容としては「母親を亡くしてしまって10年が経ち、悲しい気持ちをなかなか払拭できないことに辛さを抱えている、ヒカルパイセンはどのように悲しみを乗り越えましたか」

という質問者の切実な悩みでした。

悲しみは乗り越えなくても良い、『心象風景』

回答メッセージを引用します。

寂しさや辛いことは、乗り越えなければならない山ではなく、それも一つの心象風景だと思う(中略)悲しい気持ちとか耐えらんないってと思うような喪失感とか、これはもうずっとあるものかもしれないんだ、じゃあもう、大事に抱えて生きていこう、自分の一部として、と思った瞬間に、母親にもらったプレゼントを大事にしてるみたいな気持ちに切り替わったの。

ヒカルパイセンに聞け! 2021.06.26 パート2

奇しくもヒッキーは、活動休止期間中から、継続して精神分析を受けています。

精神科医との対話の中で考えを巡らす中で、得られた答えもあったのかもしれません。

ヒッキーは「母の死の悲しみ」を自分の人生の一部として、意味づけていったのです。

まとめ

ここまで、「夜と霧」の名言と共にインスタライブでのヒッキーの言葉を一緒に見てきました。

宇多田ヒカルのインスタライブでの言葉には、アーティストとして、1人の母として、様々な経験を積んできた彼女だからこそ見る人を勇気づけるパワーが込められていました。

そして、彼女が敬愛する「夜と霧」は、「人生にどう向き合うか」という誰も向き合う問いへのメッセージが込められた名著なのです。