働き方改革の一環として、多くの企業でフレックスタイム制が導入されています。この制度は、従業員が自由に勤務時間を設定できるというメリットを持ちつつ、一方でデメリットも存在します。
結論、フレックスタイムは「ずるい制度でもなんでもなく、労働者の生活に寄り添ったれっきとした制度」です。もちろん、企業側が労働者に対して、働きやすい就業環境を提供できていることなどの制度設計が重要です。
今回は、フレックスタイム制について、その仕組みからメリット・デメリットまで詳しく解説します。また、筆者自身の経験を交えながら、この制度が働き方にどのような影響をもたらすのかについても語っていきたいと思います。
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、労働者が自由に勤務時間を設定できる制度のことを指します。これは企業が定める一定のコアタイム(必須出勤時間帯)を除き、勤務開始時間や終了時間を労働者自身が自由に設定できるようにする仕組みです。
この制度により、労働者は自分の生活スタイルや最も集中できる時間帯を考慮しながら、自分に最適な勤務時間を設定することが可能になります。
労働者の仕事と生活の両立を支援し、労働者の生活の質を向上させることを目指しています。
裁量労働制との違い
よく比較されるのが、裁量労働制です。裁量労働制とは、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなして賃金を支払う制度です。
なので、例えばあなたの記録した勤怠が4時間であろうと、12時間であろうと、所定の8時間の勤怠の実績とみなされます。
フレックスタイム制の目的
ワークライフバランスの実現
フレックスタイム制では、労働者が自分の生活スタイルに合わせて勤務時間を設定できるため、仕事と家庭の間でバランスを取ることが容易になります。
筆者も、中抜けをして、近所にジムに行ってリフレッシュしながら働いています。
通勤ラッシュを避けられる
また、勤務時間を自由に設定できるため、通勤ラッシュを避けられます。これにより、混雑した電車やバスでの移動時間が減り、ストレスを軽減できます。
フレックスタイム制の仕組み
フレックスタイム制は、大きく「総労働時間」「精算期間」「コアタイム」「フレキシブルタイム」の4つの要素で構成されています。
総労働時間は、精算期間内に労働者が働くべき合計時間のことを指します。
精算期間は、通常月単位で設定され、その期間内の勤務時間が総労働時間を超えると、超過分は残業として認定されます。
コアタイムは、全員が出勤しなければならない固定時間帯のことを指します。
フレキシブルタイムは、労働者が自由に出退勤時間を設定できる時間帯のことを指します。
フレックスタイム制のメリット
フレックスタイム制のメリットは多岐にわたります。ここでは、具体的に経験を交えて書いてみます。
通勤ラッシュを避けられるようになった
通勤ラッシュを避けることができるため、ストレスの軽減や時間の有効活用に繋がります。また、ワークライフバランスが向上し、仕事とプライベートの両立が可能となります。
筆者の場合、リモートワークが可能な会社でもあったため、都市部に居住しているものの朝の通勤ラッシュとはほぼ無縁になりました。この利点は非常に大きかったと考えています。
自己管理能力と共に生産性が向上
自己管理能力の向上が必須になる、と言い換えても良いかもしれませんが、フレックスタイム制度下では自分のペースで仕事を進められるようになります。
フレックスタイム制度や時短制度を取り入れている企業では、そうではない企業と比較して、労働生産性が2倍以上であるとする研究結果も出ています。
効率化のために勤怠関連のITツールなどが導入が進んでいれば、さらなる生産性の維持・向上も期待できます。
離職率の低減・人材採用へのメリットも
また、離職率の低減や人材確保の面でもメリットは大きく、働きやすい環境が整うことで、人材の採用や離職防止にも繋がります。
筆者自身、入社してから、たくさんのワーママ・ワーパパを見ています。フルリモートワーク推奨の会社でフルフレックス制度だったため、社員が非常に働きやすいと評判の会社でした。
フレックスタイム制のデメリット
一方で、フレックスタイム制にはデメリットも存在します。
社員間のコミュニケーションや情報共有が難しくなる
フレックスタイム制度を行使して、全くバラバラの時間に勤務している場合、特に、同じ時間帯に勤務する人が少なくなると、直接的な意見交換の機会が減少します。
社員とのウェットで闊達なコミュニケーションを行える環境でないと仕事が捗りづらいという方は、注意が必要でしょう。
外部との連携も困難になることも
また、顧客と対応する社員が制度を利用している場合取引先や外部との連携も困難になることがあります。外部のパートナーと会議を設定する際に、自由に設定された勤務時間が調整を難しくすることがあります。
社員の自己管理能力に大きく依存する
フレックスタイム制度は、社員が自分の働きやすい時間を選択することを求めます。
相対的に社員それぞれの自己管理能力に依存するため、自己管理能力が低いと効率的な働き方を実現することが難しくなる場合もあります。
総括
従業員目線だと、フレックスタイム制度で働ける企業は、非常に魅力的です。筆者自身の経験に照らすと、そのような制度設計ができるほど従業員の自律に重きを置いている、という判断ができました。
上手に制度を使えば、あなたの自由な時間を増やす手立てにもなるでしょう。
企業目線だと、フレックスタイム制は多くのメリットを持つ一方で、デメリットも存在します。導入を検討する際には、これらを十分に考慮した上で、企業の文化や業務内容、従業員のニーズに合った働き方改革の一環として取り入れることが重要です。
導入後も定期的に評価を行い、改善や見直しを行うことで、より効果的な運用を目指すことで、より良い制度設計となるでしょう。