「自分だけ、日々の仕事がなかなか終わらずに辛い」
周りを見渡してみると、同じ役職のメンバーや上司が早々に仕事を終えて帰り支度にもかかわらず、なぜかあなたの仕事は終わらない。
それは、あなたの仕事の速さではなく、仕事の偏っているからです。
あなたが大量の仕事を抱え、他の人々は手軽な仕事ばかりをしている状況では、やる気もなくなってしまうのも当然ですよね。心身の健康を損なう原因ともなります。
この記事では、仕事の偏りの問題点と、最近の筆者の経験を交えながら話していきたいと思います。
「仕事が偏っている状態」とは?
仕事の偏りとは、一部の人々が特定の業務やタスクに集中し、他の仕事が不均等に分配される状況を指します。
当たり前ですが、特定の従業員に仕事やタスクに集中することで、業務に対する責任や負荷が増え、時間的な制約やストレスが生じることがあります。
前職でベンチャー系の企業に勤めていた筆者は、同じチームのメンバーの退職に伴い、お客さん対応を含めた仕事が、一時期集中した経緯があります。
そもそも分配ができない状況というのはなかなか辛いものがありますね。
仕事の偏りを解消する方法
仕事の偏りを解消するためには、一般的な以下のようなアプローチが有効とされています。
- チームの協力とコミュニケーション: 進捗管理のチーム内での共有などやコミュニケーションを促進し、業務の負荷を均等に分けることで、偏りを解消することができます。
- ワークライフバランスの取得: 従業員が効果的に仕事とプライベートの両立を図ることができるよう、柔軟な労働時間や休暇制度を導入することが重要です。
2022年に労働政策研究所から発表された報告書によると
「業務配分のムラをなくす」という直接的なアプローチによって、かえって「業務配分のムラ(偏り)が増えてしまった」という結果が出ています。
組織的な業務の偏りの解消は、非常に難しいのです。
「Q36_4 業務配分のムラをなくす」は、「業務量が減った」「無理な要求が少なくなった」
労働時間の研究―個人調査結果の分析―(強調:筆者)
「無理な要求が少なくなった」でプラス(効果)だが、「業務量が増えた」「業務配分のムラが大きくなった」でもプラス(効果)となっており、「業務量を減らす」と似たような両面性を持っているようだ。
基本的には、仕事の偏りを解消するための取り組みは重要であり、組織の長期的な成功にもつながるでしょう。自身の健康や幸福を考えつつ、仕事の偏りに対処することが重要です。
仕事が偏っている状況は、メリットもある
ここまでは、環境・組織としてで、仕事の偏りについての問題点に触れてきました。
ただあくまで個人として、この状況を考えてみると、デメリットだけではなくメリットも挙げることができます。
責任感を醸成し、自己成長の機会を与えてくれる
仕事の偏りや疲れた状況下では、多くの責任を負わされることがあります。そのため、自分自身の責任感を養うことができます。他の人よりも多くの業務を任されることで、自分自身が信頼されていると感じることができます。責任を果たすことで、将来の昇進や出世に繋がる可能性もあります。
筆者は、同じ地方支社に上司がいました。その上司が転勤で本社に異動するタイミングで、支部の数値の責任を持つという機会に恵まれました。
非常に大変でしたが、周囲の環境変化にうまく合わせることができれば、チャンスの機会にもなり得ることを実感しています。
キャリアの幅を広げる
同僚から間接的に任せられた業務が、同じ部署内の業務であれば、あなたは、その分の業務内容に特化した、その分野における専門的な経験を積むことができます。
長い目で見れば、自分のキャリアの幅を広げることができるでしょう。他の分野においても、自身の専門知識やスキルを活かすことができる可能性があります。また、他の業務に対しても理解を深めることができるため、チーム全体の効率や品質の向上にも繋げられる可能性があります。
成果を実感できる
一つの業務に特化することで、その分野において成果を実感することができます。
自らの努力や専門知識を活かして、問題を解決したり目標を達成したりすることで、達成感を味わうことができます。これはモチベーションの向上にも繋がり、自分自身の仕事への意欲を高めることができます。
上司に任せられた仕事を完了させることは、責任感の醸成に繋がります。
キャリアの幅の広がりは、苦労や辛さを乗り越えることで生まれます。
こうした背景から、業務量が偏ることで、一層の成長ができるという側面もあります。
仕事の偏りが常態化するデメリット
冒頭に話したように、仕事の偏りを組織的に解消するアプローチはかなり難易度が高いものです。
「組織があまりにも変わらないことで、自分の生活に支障をきたす」などの状況が続く場合は、環境の変化を考えるべきです。
以下では、仕事の偏りが生むデメリット・問題点を挙げています。
健康への影響
仕事の偏りは、私たちの健康に悪影響を及ぼします。
長時間の労働や過重な負荷は、身体的な疲労やストレスを引き起こす可能性があります。体のバランスが崩れ、疲れがたまると、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなるでしょう。
常に忙しく働いていることで、自分自身の健康を犠牲にしてしまうことになるかもしれません。
家族との関係の悪化
仕事の偏りは、家族との関係にも悪影響を及ぼします。
長時間の労働や頻繁な出張などによって、家族との時間が減少し、家族内のトラブルに発展する可能性だってあります。家族が私たちの支えであるはずが、仕事に没頭しすぎることで、家族との絆が希薄になってしまうかもしれません。
特に、出産・育児などのライフステージを迎えている時は、特に家族と仕事のバランスを取ることが重要になります。コミュニケーションを充足させることを、何よりも重視すべきタイミングだからです。
「社外」で通用する自己成長の妨げ
仕事の偏りは、社内での新しい機会を得られるチャンスがある一方で、自分が取り組みたいことやチャレンジを妨げる要因となりえます。
仕事に追われるあまり、自己啓発や新しいスキルの習得といった自己成長の機会を損ねてしまうことがあるためです。
働きすぎによるパフォーマンスの低下
仕事の偏りは、逆にパフォーマンスの低下を招くこともあります。
疲れがたまり、ストレスが溜まると、集中力や創造力が低下し、仕事の品質が落ちる可能性があります。また、長時間の労働によって生じるミスやミスコミュニケーションも、仕事の効率を低下させる原因となります。
働きすぎは、私たちの能力を引き出すのではなく、かえって制約するものとなるかもしれません。
心の健康への影響
仕事の偏りは、心の健康にも深刻な影響を与えます。長時間の労働や過重な負荷は、ストレスを引き起こし、心身の不調のリスクを高める可能性があります。
筆者は、先ほど大きな環境の変化で責任感を持つ機会を得たと書きました。
ただ、メンバーの退職により業務が偏る中で、筆者自身が、心身の健康を損ねてしまいました。組織の状況変化に合わせて、自分にどのような影響があるのかを、都度、考えることが重要だと気づきました。
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以上のように、仕事の偏りは、それぞれメリット・デメリットをもたらします。健康、家族との関係、自己成長、パフォーマンス、心の健康といった様々な面において、問題を引き起こす可能性があります。
自分の今後のキャリアや理想の生活を見据えた働き方を心がけることが、充実した人生を送るための鍵となるでしょう。仕事だけでなく、自分自身や大切な人々との時間を大切にし、幸福な人生を手に入れましょう。